運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「・・・来てくれると思っていたよ。」
アヤが、屋上に上がった時、リョウは、雲ひとつない空を見上げていた。
そして、アヤが、屋上に入ってきたのに気付き、リョウは、声を掛けた。
「・・・いい・・・天気ね。」
今日は、朝からずっと晴れていたが、アヤは、それに気付かなかった。
というよりも、ここ最近、空を見上げたことがなかったことに気が付いた。
「ああ。」
リョウは、透き通った空と同じような透き通った笑顔を浮かべて、アヤを真っ直ぐに見つめた。
「・・・それで・・・何?」
このまま、こんな晴れた空の下で、リョウと2人でいられたら、どんなに幸せだろう・・・。
その思いが、アヤの心の中に湧き上がってきた。
しかし、それは、所詮、まやかしでしかない。
現実ではないのだ。
今の状況では・・・。