運命の歯車-不思議の国のアイツ-


「・・・無理・・・か。・・・確かにそうかもな。」



人が変わったと思うほど、素直に納得するリョウ。



「・・・リョウ?」



思わず、疑問の声をアヤがこぼした。



リョウが、ゆっくりとアヤとの距離を詰め始めた。



「中学生の俺には、仕事をするのも、無理。・・・・中学生の俺には、2人の住む家を探すのも、無理・・・・。」



最初、気まずさからか、普通よりリョウとアヤは、距離を遠くにとっていたが、今は、リョウが手を伸ばせば、アヤに触れることのできる距離まで近づいていた。



そして、リョウは、ゆっくりと右手でアヤのあごに触れると、アヤのあごを軽く上にあげ、リョウは、自らの顔をアヤに近づけた。



アヤの唇に迫ってくるリョウの唇。



しかし、アヤは、身動きひとつしない・・・いや、できなかった。



まるで、体が逃げることを拒否するかのように動かないのだ。



理性の命令を頑なに拒否する本能。



今のアヤは、本能に支配されていた。


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