運命の歯車-不思議の国のアイツ-
第7節:狩り
朝、マイから電話を受けてから、家を飛び出したコウの背に、夕日が降り注いでいた。
すでに、時刻は、夕方の5時を回っており、コウが、家を飛び出してから、9時間以上過ぎていた。
道も、昼間とは違って、スーツや制服姿の人々が、多く見られる。
コウは、とりあえず、いろんなところに行ってみたが、やはり、マサヤと出会うことはできなかった。
それも、そのはずである。
いくらよく知った街といっても、かなりの広さがあり、また、動き続けたコウと隠れているマサヤが街中で出会う確率など、いくらコウが、成績がよくないといっても想像に難しくなかった。
それでも、街中を探してしまうコウの気持ちも分からないでもないが・・・。
「・・・やっぱり、どっか一箇所で待っておくべきだったかな・・・。」
ようやく、コウは、自分の間違いに気付いたが、例え、一箇所で待っておいても、マサヤと出会える補償は、どこにもない。
むしろ、あんなに朝早くから探す必要がなかったと思ってもいた。
マサヤは、コウやリョウと違って、かなりの成績のいい生徒である。
あれだけの事件を起こせば、昼間で歩くことがいかに危険かは、コウでもわかるくらいなので、当然、理解しているはずだ。
「・・・やっぱり、一人じゃ無理があるな・・・。」
しかし、他の誰にも、頼むことはできない。
今回のことは、ある意味、コウのミスで起こったことであり、他の誰にも責任はない。
マサヤが、マイのことを好きなことを知っておきながら、マサヤの前であんな態度を取ったコウ。
たぶん、教室でマイとコウが、話していた時、ちょうどいい場面で現れた時も、マサヤは、すべての話を聞いていたのだろう・・・。
昼間、色々考えながら、道を歩いていて、コウは、その答えに行き着いていた。