運命の歯車-不思議の国のアイツ-
ただ、マサヤを見つけても、コウは、どうしようという明確な答えを持っているわけではなかった。
匿うのか・・・それとも、警察に行くように説得するのか・・・。
・・・いや、警察に行くように説得することは、コウは、しないだろうということは、コウ自身、分かっていた。
マサヤが、自身で警察に行くと決めたのなら、当然、コウも一緒についていく気ではいたが、コウ自身からそれをマサヤに進めることはない。
友達のためにも、悪いことをしたら、それを駄目だと言ってあげるのが、本当の友達だということを、幼い頃、学校の先生が、よく言っていた。
しかし、今回のマサヤの行動が、悪いことだとは、コウは、実際、考えていなかった。
そもそも、コウも紅蓮を潰す気でいたし、その過程で、紅蓮のメンバーを傷つけたであろう。
それが、たまたま、マサヤの行動の方が早かっただけなのだ・・・残念ながら。
「何で、俺に任せなかったんだよ・・・。」
コウは、夕暮れの街で一人、途方に暮れていた。