運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「おい、何してるんだよ?」
夕暮れの街にたたずむコウに後ろから、声がかかった。
コウが、無言のまま、振り返ると、そこには、東三鷹中の田村ジュンが立っていた。
ジュンの横には、前にジュンを助けた時にいた、ジュンの彼女らしき女性も一緒に立っていた。
「ああ。ジュンか。」
コウは、これが、マサヤだったらと瞬間的に思い、少し残念そうな声を出した。
しかし、もし、マサヤだったら、コウに声は掛けないだろう・・・。
マサヤは、コウに対抗して、この事態を起こしているのだ。
「どうしたんだ?・・・何か、問題か?」
よほど、コウの表情と声に残念さが浮かんでいたのだろう。
ジュンが、心配そうにコウを見た。