運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「・・・いや、別にたいしたことじゃないよ。・・・それよりも、2人とも仲がいいな。いつも一緒なんて。」
コウは、意図的に話をずらした。
「・・・まあな。」
ジュンは、少し照れくさそうに一瞬だけ隣に立つ彼女を見たが、すぐにコウに視線を戻した。
「今から、デートか?」
「・・・まぁ・・そんなところだ。」
「・・・うらやましいな。」
コウは、今日はじめて、少し笑った。
「・・・コウは、女にでも逃げられたのか・・・そんな焦ったような表情で?」
「違うよ、女じゃないよ・・・そもそも、俺、彼女いないし。」
コウは、朝から緊張しっぱなしに疲れていて、つい、ジュンに余計なことまで話してしまう。
「なんだ、コウ、彼女いないのか?」
驚いたような表情になるジュン。
「・・・ああ。」
自分から言ってしまった手前、恥ずかしそうに頭をかくコウ。