運命の歯車-不思議の国のアイツ-
(チッ・・・これは、本気で死ぬかもな・・・。)
コウが、そんなことを考え始めた時、紅蓮の奴ら攻撃がいきなり止んだ。
(どうしたんだ?)
殴られ、蹴られ続けて、いたるところが傷む体にムチ打って、上体をあげると、紅蓮の男達は、学生服を着た20人ぐらいの男に取り囲まれていた。
その学生服を着た20人の男達の中心には、田村ジュンが、堂々と立っていた。
「・・・大丈夫か、コウ?」
心配そうにコウに声を掛けるジュン。
コウを取り囲む紅蓮の男達は、動けないでいる。
もともと、数に頼って喧嘩している連中など、それよりも多くの人数で囲まれては、何もできない。
「・・・ああ。まだ・・・大丈夫だ。」
コウが、ゆっくりと立ち上がる。
「本当か?」
ジュンは、コウの赤くはれ上がった顔や腕を見て、再度、声を掛けてきた。
「・・・ああ、骨は折れてないみたいだな・・・それよりも、ジュン、映画は?」
コウは、軽く体を動かし、自らの体の状態を確認しながら答えた。