運命の歯車-不思議の国のアイツ-





リョウが、ケーキ店を出たのは、結局、昼の1時40分過ぎになっていた。



4時に待ち合わせなので、時間は十分に有り余っている。



リョウは、急ぐ心を抑えるように、自らを落ち着かせながら、ケーキ店から駅までの道を歩く。



(・・・さすがに早すぎるかな?)



さすがに、この時間に直接、待ち合わせの駅に向かえば、1時間30分以上前に到着してしまう。



ふと、道の横を見ると、そこには、花屋が、日曜日の通行量の多い道へと、さまざまな彩りと多彩な香りをふりまいていた。



(・・・花でも見ていくか。)



リョウは、今までに一度も寄ったことはないが、初めて、花屋へと入って行った。



その花屋は、人が4人も入れば、お店いっぱいになるような小さな花屋だったが、様々な種類の花がおいてあった。



むしろ、花の種類が多すぎて、人のいることのできるスペースが、狭くなってしまっているのだろう。



「どんな花をお探しですか?」



リョウが、店内に入るとすぐに25歳くらいの女性が、話しかけてきた。



「あっ・・えっと・・その・・。」



リョウは、気軽に花屋に入ったはいいが、特に買う花を決めて入ったわけではなく、思いつきで入ったために、店員に聞かれて、言葉に詰まった。



しかし、そんな男性のお客が多いのだろう、店員は、そんなリョウの態度に困ることなく、言葉を続ける。



「彼女へのプレゼントですか?」



「はい。」



リョウは、店員の言葉に肯く。

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