運命の歯車-不思議の国のアイツ-
第2節:運命のいたずら
時刻は、日曜日の昼の2時30分。
日曜日のお昼ということもあり、駅の構内は、多くの人で溢れかえっていた。
ほとんどの人々が、その家族や友人、そして、恋人と一緒のようだった。
今から遊びに出かけるのか、もしくは、少し早いが、遊んで帰ってきたのか。
しかし、この駅で今から駆け落ちするために、彼女を待っているのは、たぶん、リョウだけであろう。
余程のことがない限り、電車が、定刻に遅れることはないので、分かりきっていたことだが、リョウは、目的地の駅に早々と到着していた。
この駅は、リョウが、学校に通うために毎朝、ケーキ屋の仕事を終えてから降りる駅であり、使い慣れた駅だった。
ただ、日曜日のこの時間に駅で待ち合わせをしたことはなく、やはり、普段見る駅とは、多少、雰囲気が違って見えた。
もしくは、リョウの気持ちの持ちようだったのかも知れないが・・・。
周りから、アヤを待つリョウは、どのように映っているのだろう?
時間が余っているので、リョウは、そんなことまで考えてしまう。
右手にケーキの箱、左手に小さな花束。
そこまで考えて、リョウは、少し顔を赤らめる。
(俺・・・もしかして、浮いてないか?)
リョウは、かなり浮かれていたのだろう。
待ち合わせの駅に到着するまで、自分が今、他人にどう見えているのか、まったく考えていなかったのだ。