運命の歯車-不思議の国のアイツ-
レイジも気付いていたが、ここに集まったメンバーは、コウの強さにほれ込んで集まったメンバーが多いのだ。
コウ本人は、気付いてないのかも知れないが、コウには、どこか他人をひきつける何かを持っていた。
コウとタイマンを張って、そして、敗れた後に、コウに笑顔を向けられると、何とも言えない気持ちになるのだ。
それは、言葉に表すならば・・・憧れだった。
「何?」
コウは、いきなりレイジに見られて、驚いたような表情になった。
「ふっ、コウ。お前の出番だとさ。」
状況に気付いたジュンが、笑いながら、コウに声を掛けた。
ジュンも、コウに男として惚れた一人なのだ。
そこにいる50人の気持ちは、痛いほどわかった。
「俺が?何で?」
あくまで黒子に徹しようとしていたコウは、困ったような表情になった。
「何でもだよ。」
ジュンに背中を叩かれて、コウは、1歩前に出た。
そこにいる全員の視線が、コウに注がれた。
しかし、コウは、それに怯むことなく、堂々と立っていた。