運命の歯車-不思議の国のアイツ-


「・・・いや、俺の仕事は、終わったから。」



コウは、優しい瞳でレイジを見つめていた。



その瞳は、まるで、今まで、タイマンをしていた者の瞳とは思えないほど、落ち着いていた。



「俺達は、どうすればいいんだよ!」



レイジが、コウに詰め寄る。



「・・・それは、レイジが、次の総長になって・・・。」



「・・・俺じゃ無理だよ。・・・・いや、俺は・・・いや、俺達は、コウさんの背中についていきたいんだ!!」



レイジの必死の言葉に、周りの紅蓮のメンバーもレイジと同じような表情で肯く。



「・・・俺が?・・・紅蓮の総長?」



コウは、驚いたような表情になる。



コウは、自分の仕事は、ここまでと思っていただけに、まさか、自分が紅蓮の総長になるとは思っていなかったのだ。



「・・・やってみれば、いいじゃないか、コウ。」



ジュンが、コウの肩に手を回しながら、笑顔でコウを見た。



「・・・でも・・・。」



「・・・紅蓮を本当に変えたければ、中から変えなければ無理だぞ。・・・外から変えても、結局、外道は生き残る。」



ジュンの言葉にコウは、考え込んだ。

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