運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「て、転校・・・?」
「う、うん。・・・織田くん、聞いてなかったの?」
リョウは、女の子の言葉に答えることなく、その場からトボトボと歩き始めた。
そして、リョウの足は、いつの間にか、いつもの屋上へと向かっていた。
「おい、リョウ。お前、アヤが、引っ越したって知ってるのか?」
屋上に行くと、そこには、コウがいた。
「・・・・・いや。」
リョウは、生気のない表情で答えた。
「・・・そうか。」
コウは、あまりのリョウの落ち込みようにそれ以上言葉を掛けられなかった。
「・・・ごめんね、織田くん。私のせいで・・・。」
リョウの目には、入ってなかったが、コウの隣に立っていたマイが、落ち込みの酷いリョウに声を掛けた。
「・・・・何で、海堂が、謝るんだ?」
ゆっくりと、マイの方に視線を移すリョウ。
「・・・だって、私のせいで織田くんも警察に取り調べ受けてたんでしょ?」
マイは、父親から聞いて、リョウが、警察で取り調べを受けていたことを聞いていたのだ。
そして、少し、融通も利かしてもらっていた。
警察官を殴ったリョウが、何のお咎めもなく、出てこれたのは、マイの父親のおかげだった。