運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「・・・駄目だ。リョウだろうが、誰だろうが、紅蓮は潰させない。」
コウは、譲らない決意を秘めた目をしていた。
ボコッ!!!
リョウは、思いっきり、コウの頬を殴りつけた。
「グッ!」
コウは、うめき声は出したが、立ったままでリョウのパンチを顔で受けきった。
「だったら、お前も含めて、俺が潰してやるよ!!!」
バコッ!!
再び、コウを殴りつけるリョウ。
しかし、コウは、殴り返さないばかりか、リョウのパンチを避けようともしなかった。
「何で殴り返さないんだよ!!!」
叫ぶリョウ。
しかし、コウは、そんなリョウに冷静に答えた。
「リョウを殴る理由がない。」
「・・理由だと?・・・馬鹿にしてんのか、コウ!!・・・そうか、紅蓮の総長様は、俺程度じゃ喧嘩も出来ないって訳か・・・よくわかったよ、コウ・・・いや、山下。お前とは、これまでだ。」
リョウは、今まで、コウが見たことないような、強い怒りに満ちた目のまま、屋上を出て行った。
そして、それから、リョウが、学校へ来ることはなくなった。