運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「誰が、仲裁しろって頼んだんだよ?」
リョウがコウにつめよる。
「誰にも言われなくてもやるのがカッコいいんだよ。」
笑顔で答えるコウ。
「っていうか、お前、田村ジュン以外の4人は、思いっきり、殴ってただろ?何で、あのタイミングで仲裁なんだよ?」
「当たり前だろ?いくら俺でも、5人によってたかって殴られる趣味はねぇ~よ。それに、2人相手に5人がかりでどうにかしようって根性も気にいらなかったしな。」
「はぁ~・・・呆れてものがいえねぇ~。何でわざわざ勝つ直前の喧嘩を仲裁されなきゃいけないんだよ。」
怒りを通り越して、悲しそうな表情に変わるリョウ。
「リョウ、喧嘩に勝った負けたなんてないよ。あるのは、殴られて痛いってだけさ。」
コウが悲しそうなリョウを真剣な表情で見た。
「何言ってるんだよ?あるに決まってるだろ。」
コウが何を言っているのかわからないといった表情に変わるリョウ。
「それじゃ、喧嘩に勝ったらどうなるんだ?」
「喧嘩に勝ったら・・・喧嘩に勝ったら、そいつより、俺の方が強いってことになるんだよ。」
リョウが答えた。