運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「まぁ、上がれよ。」
「・・・お邪魔します。」
コウは、戸惑いながらも、ジンに言われるがままに、ジンのアパートに上がった。
ジンの部屋の中は、暴走族の総長とは思えないほど、普通の部屋だった。
生まれてから、ずっと一軒家に住んでいたコウは、アパートに入ったのは、初めてで、物珍しくて、キョロキョロと部屋を見回す。
「そんなキョロキョロしないで、座れよ。」
ジンが、コウの様子を見て、笑いながら声をかける。
「あっ、すいません。」
コウは、ジンに言われ、テーブルのジンの向かいに腰を下ろした。
「おい、何か飲み物持って来てくれ。」
ジンが、台所にいるアユミに声をかけると、「は~い。」と声がして、すぐに、ビールを2本、アユミが運んできた。
「コウ、お前、ビールでいいか?」
「いいわけないですよ。・・・何度も言いますけど、俺、普通の中学生ですよ。」
「そうだよな。アユミ、ジュース何かあったか?」
アユミを見るジン。