運命の歯車-不思議の国のアイツ-
第1章:仲間
第1節:屋上
放課後の屋上。
4月の空は、早くも橙色に染まり始めている。
暖かさと寒さの入り混じった風が、マイに吹きつけてくる。
マイは、ポケットから父親からくすねておいたタバコとライターを取り出した。
タバコを一本取り出し、口にくわえ、ライターで火をつける。
「・・・?」
タバコには、火がつかなかった。
何度試しても火はつかない。
「それタバコ吸いながら、火つけないとつかないぜ。」
マイは、いきなり声をかけられ、驚いて後ろを向くと、そこには、男子生徒が立っていた。
マイは、その男子生徒のことを知ってはいた。
山下コウ。
長身で黒髪。
女性っぽい顔つきで女生徒に人気があった。
ただ、今まで、マイは、コウとまともに話したことはなかった。