運命の歯車-不思議の国のアイツ-

第2節:コウの憂鬱




コウは、放課後の教室でひとり、憂鬱そうに座っていた。



「・・・・・はぁ~・・・・めんどくさいなぁ~・・・」



誰もいない教室で独り言をつぶやく。



コウが座っている机の上には、1枚の手紙が置かれていた。



コウの憂鬱さのすべてが、この手紙のせいだった。



手紙の内容は、想像通り、ラブレター。



2年の女の子からのラブレター。



コウは、どうするべきか迷っていた。



といっても、付き合うべきか、断るべきかの2択ではなく、呼び出し場所に行って断るべきか、呼び出し自体をすっぽかすべきかだったが。



コウは、はっきり言って、モテる方だった。



コウが、中学2年の頃は、それは、もう、毎日のように色んな人から告白されていたが、コウは、そのすべてを断っていた。



どんな女の子が告白しても断るので、同級生の間では、ゲイじゃないかと噂されたことも1回や2回ではない。



・・・・・・・そのおかげで、そっち系の男からも、少数だが、告白されたこともあった。



当然、お断りさせていただいたのだが。



それも、中学3年になって落ち着いてきて、やっと余計な気を使わなくてよくなると思った先にこのラブレターだった。



「・・・・しょうがない。いつものように断るか。」

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