運命の歯車-不思議の国のアイツ-




呼び出しの場所は、運動場の端にある運動用具が入っている倉庫の裏。



奇妙な場所だが、そこは、校舎からも、運動場からも死角になっているので、誰かに見られることがない穴場だった。



コウが、その場所に到着したのは、約束の5分前。



少し早かったかと思ったが、行ってみると、すでに女の子が2人立っていた。



(・・・付き添い付きかぁ・・・・)



コウの憂鬱が、さらに酷くなる。



コウの経験上、付き添い付きの告白は、面倒な事になることが多かった。



今回は、その経験に基づく予測が外れてくれることを、心の中で祈りながら、女の子達の前に立った。



「・・・・何?」



コウは、表情、声ともにそっけなく尋ねる。



変に感情を入れると、断る時につらくなるから、もう、すでに、コウは、心を閉めた状態でいた。



「あの~・・・山下先輩って付き合っている人いるんですか?」



コウに手紙をくれた方ではなく、付き添いの女の子が聞いてきた。


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