運命の歯車-不思議の国のアイツ-
(・・・・なんで、こっちのそういう情報を教えなきゃいけないんだよ。)
コウは、少し腹立たしさを覚えていた。
いつもいつも、告白される時に、きまって女の子は、付き合ってる人いるんですかと聞いてくる。
これが、コウには、ムカついて仕方なかった。
わざわざ、コウのそういう情報を何故、関係ない奴に教えないといけないのか?
コウは、聞かれるたびにそう思う。
さらにこの言葉には、罠があって、いないと答えると、後で面倒な事になるのは目に見えていた。
(・・・・・・・・嘘つこうかな・・・)
コウの頭の隅によぎった。
しかし、コウの性格上、こういう場面で嘘をつくのは、相手にも悪いという思いがあり、それを実行は出来なかった。
「・・・・いや、いないけど。」
コウの言葉を聞いて、コウの目の前にいる女の子二人は、顔を見合わせて、うれしそうな表情をつくる。
(・・・・・・・いないってだけで、付き合うとは言ってないんだけどな・・・・)
コウは、二人の様子を見て、心の中で苦笑いをした。
「あの~・・・それじゃ、この子と付き合ってくれませんか?」
またも、付き添いの子がコウに言ってきた。
「悪いな。俺、付き合うつもりないから。」
即答するコウ。
コウの言葉を聞いて、コウと付き合いたいという女の子の方の表情が凍りつく。