運命の歯車-不思議の国のアイツ-


例え、世界中にコウと他に女性がひとりだけになっても、コウが、好きな女性でなければ付き合わない。



そう心に決めていた。



「悪いけど、俺、試しにって言葉、一番嫌いなんだよな。」



コウは、思わず、付き添いの女の子を鋭い目つきで睨みつけてしまった。



普段、あまり見せないコウの鋭い目つきに、コウの目の前の2人は、まるで体が凍りついたように硬くなる。



その目の前の2人を見て、コウは、自分が、怒りをあらわにしてしまったことに気づいた。



(シマッタ・・・・)



怖がらせるつもりはなかったコウは、心の中で後悔したが、すでに後の祭りだった。



「・・・・そういうわけだから・・・・悪いな・・・・」



しかし、やってしまったことは取り返しがつくわけもなく、逆にチャンスとばかりに、コウは、固まっている2人にそういい残して、その場を去った。



(・・・・俺ってこんなに短気だったかな?)



立ち去りながら、心の中でつぶやくコウ。



(・・・・・そうか・・・・リョウといることが多いから、俺もリョウみたいに短気になったんだな。・・・まったく、リョウは、いつも俺に迷惑かけるんだからな・・・)



コウは、勝手にそう結論付け、リョウへの文句を心の中で繰り返した。



しかし、リョウへの文句を繰り返していたコウの表情は、なぜか笑顔だった。


< 85 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop