運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「なんだよ、せっかく、珍しくリョウが奢ってくれるのに、コウ行かないのかよ?」
マサヤが、不思議そうな顔でコウを見る。
「えっ、山下くん、行かないの?」
残念そうなマイ。
「何言ってるのよ。行くわよね、コウ?」
アヤは、コウが行くのは当然といった様子で話しかけてきた。
「ちょっと待てよ、俺、ケーキ屋なんか行かないぞ?」
アヤの言葉に焦るコウ。
「何でよ?」
アヤが、コウを真っすぐ見つめる。
「いや、ほら、やっぱり、男がケーキ屋っていうのは・・・な。」
言いにくそうなコウ。
「何だよ、コウ。それじゃ、素直に行くっていう俺やリョウが馬鹿みたいじゃないか。」
マサヤが、コウに文句を言った。
「だから、そういうわけじゃなくてな。俺とマサヤじゃ違うだろ。」
言い訳にならない言い訳をするコウ。
「山下くん、行こうよ。」
潤んだ瞳でコウを見てくるマイ。