運命の歯車-不思議の国のアイツ-


「もう、何なのよ!」



訳のわからないアヤが、怒った様子で、リョウに「見せなさい!」と迫る。



「いや、その・・・・・」



アヤに迫られて、渋々、リョウが、自分の財布の中身を見せた。



リョウの財布の中身は、お札は1枚もなく、500円玉が1枚あるだけだった。



「・・・・リョウ、アナタ・・・何を奢るつもりだったの?」



今までに見せたことのないような表情になるアヤ。



「いや・・・・だから、言っただろ・・・今月、キツイッて。」



財布の中身を見せられて、恥ずかしそうに語るリョウ。



「・・・・・・・・・・・もう、リョウは、しょうがないんだから。・・・いいわ、今回は、私がみんなに奢ってあげる。」



アヤが、仕方ないといった表情でみんなに宣言した。



「さすが、アヤ。俺の女だけのことはある。」



先ほどの恥ずかしそうな表情とは、打って変わって、自慢そうな表情に変わるリョウ。

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