運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「何言ってるの、リョウ。アナタは、私に恥かかせたんだから、水しか頼んじゃダメよ。」
冷たい表情でリョウを見るアヤ。
「冗談だろ、アヤ・・・・・・冗談だよね、アヤ・・・・・・まさか、本気かよ。」
「本気に決まってるでしょ!」
「勘弁してくれよ。」
泣きそうな表情のリョウが、アヤに泣きつく。
しかし、アヤは、そんなリョウを相手にせずにマイとマサヤと一緒にさっさと歩き始める。
(・・・リョウの奴、変わったなぁ~・・・・)
コウは、リョウの姿を見て思った。
ちょっと前までは、まともに他人に心を開かずに喧嘩ばかりしていたリョウが、アヤのおかげで、こんな行動までするように変わって。
(やっぱり、本当に好きな人と付き合うことに意味があるんだろうな。)
今日の出来事を思い浮かべながら、心の中でつぶやくコウ。
そして、コウも遅れないように、アヤ、マイ、マサヤの後を追いかけて歩き始めた。
「いくらなんでも・・・・・水だけはないだろ?」
残されたリョウのつぶやきが、夕日の落ちかけた空に悲しく響いていた。