運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「どうりで、店内、もの凄く綺麗だよな。」
マサヤも、マイと同じ様に店内を見回していた。
ケーキ屋の店内は、ケーキの甘い匂いの他に、新しい建物特有の匂いも微かに匂っていた。
「それにしても、アヤ、ケーキ好きだよな。」
リョウが、少し不思議そうに尋ねた。
リョウは、お金持ちのアヤにとって、ケーキがそんな特別なものだとは、ちょっと想像がつかないといった表情をしていた。
「何でよ?」
アヤが、リョウを見た。
「イヤ、アヤ、別に店に来なくても、いつでも好きなだけ美味しいケーキが家で食べられるだろ?」
「確かにな、アヤがケーキ好きって、ちょっとイメージと違うかもな。海堂だと、イメージピッタリなんだけどな。」
コウもリョウの言葉に同意する。
「何よ!私が、マイみたいに女の子っぽくないっていうの?」
少し怒り気味の表情でリョウとコウを睨むアヤ。
「ち、違うよ。そうじゃなくて、何かケーキに特別な思い出でもあって、こんなに好きなのかなと思って。」
アヤの表情に焦ったコウが、アヤに尋ねた。