運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「思い出・・・・そうね。・・・・聞きたい?」
アヤが、少し物悲しそうな表情でリョウ、コウ、マイ、マサヤを見た。
4人は、同時にうなずく。
「それじゃ、教えてあげるけど。私ね、昔、付き合っていた人が、パティシエ目指してケーキ屋で働いていたの・・・・それで、私の誕生日には、いつもケーキを焼いてくれてたのね。・・・その思い出があるから・・・・好きなのかな。」
アヤの言葉に耳を傾けるコウとマイとマサヤ。
ただ、リョウだけは、違った。
「何だよ、アヤ!俺、そんな話聞いたことないぞ!」
不機嫌そうにアヤを見るリョウ。
「当たり前でしょ。嘘なんだから。」
当然のように答えるアヤ。
顔には笑みまで浮かんでいる。
「・・・・嘘?何で、嘘つくんだ?」
コウが、不思議そうにアヤに尋ねた。
「・・・嘘っていうか、私の夢かな・・・好きな人が、私の誕生日に自分でケーキを作ってくれることが。・・・ほら、その努力がうれしいっていうか・・・」
アヤは、少し視線を上にあげて、虚空を眺めながら、言った。