運命の歯車-不思議の国のアイツ-
お金持ちの家に育った者、特有の悩みだったのかもしれない。
お金で買える物は、いくらでも手に入るが、気持ちのこもった物は、手に入らない。
普通の家では、母親の愛情こもった手料理を普段食べて育つことが多いが、アヤは、いつもシェフの作った料理。
シェフの作った料理は、美味しいかもしれないが、アヤに対する愛情は、込められていない。
リョウ、コウ、マイ、マサヤは、なんとなく、アヤの気持ちがわかり、少し悲しい気持ちになった。
「もう、そんなに暗くならないでよ。それも、今年の誕生日には、叶う予定なんだから。」
アヤが、静まりかえったみんなに明るく声をかけた。
「今年の誕生日に叶うって?」
マイが、アヤに尋ねた。
「うん。リョウが、私にケーキを作ってくれる予定だから。」
少しテレながら、でも、満面の笑みでマイに答えるアヤ。
「へぇ~、リョウもいいところあるんだな。」
マサヤが、感心した様子で、リョウを見た。
「当たり前だろ。俺だってやるときは、やるって、待てよ、アヤ!俺、いつ、そんな約束したよ?」
驚いた様子のリョウ、隣に座るアヤに顔を近づけて抗議した。