運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「本当に美味しかったよ、アヤ。奢ってくれてありがとうね。」
ケーキ屋の帰り道、マイがアヤにお礼を言った。
「気にしないで。でも、マイが、気に入ってくれて安心した。」
アヤは、笑顔でマイに答える。
すでに太陽は沈み、辺りは、暗くなり始めていた。
「それじゃ、帰るか。」
一番先頭にいたコウが、後ろのリョウ、アヤ、マイ、マサヤに声をかける。
4人は、「うん。」「そうだな。」とそれぞれがうなずいた。
コウは、それを確認して、歩き始めた時、ふと、路地で若い男が集まっているのに気がついた。
「んっ?」
薄暗い中、目を凝らしてみると、若い男達に囲まれているのは、ちょっと前に喧嘩した東三鷹中の田村ジュンと知らない女の子だった。
「リョウ、見てみろよ。」
コウは、後ろのリョウに声をかける。