運命の歯車-不思議の国のアイツ-
「どうしたの?」
アヤが、リョウに尋ねたが、リョウは、笑顔で「別に、なんでもないよ。知り合いかと思ったら、違ってただけだよ。」とごまかしていた。
「それならいいけど・・・」
アヤは、少し納得いかないといった感じだったが、別に詳しく聞くことでもないと判断して、歩き始めた。
そして、しばらく歩いて、道の曲がり角に来たところで、急にコウが立ち止まった。
「あっ!!」
いきなり大声を上げるコウ。
「何だよ、急に?」
リョウが、コウに尋ねた。
「しまった。ケーキ屋に忘れ物しちゃったよ!」
焦った様子のコウ。
「何を忘れたんだよ?」
マサヤが、笑いながらコウを見た。
「えっ・・・あれだよ、あれ・・・え~っと・・・・名前忘れたよ。ちょっと俺、取りに行って来るから、先帰っててくれよ。じゃあな。」
コウは、早口でそう言うと、さっさと来た道を戻り始めた。
「・・・・まったく、何してんだよ、アイツは。」
残された4人は、リョウのつぶやきに顔を見合わせて、笑っていた。