運命の歯車-不思議の国のアイツ-


「どうしたの?」



アヤが、リョウに尋ねたが、リョウは、笑顔で「別に、なんでもないよ。知り合いかと思ったら、違ってただけだよ。」とごまかしていた。



「それならいいけど・・・」



アヤは、少し納得いかないといった感じだったが、別に詳しく聞くことでもないと判断して、歩き始めた。




そして、しばらく歩いて、道の曲がり角に来たところで、急にコウが立ち止まった。



「あっ!!」



いきなり大声を上げるコウ。



「何だよ、急に?」



リョウが、コウに尋ねた。



「しまった。ケーキ屋に忘れ物しちゃったよ!」



焦った様子のコウ。



「何を忘れたんだよ?」



マサヤが、笑いながらコウを見た。



「えっ・・・あれだよ、あれ・・・え~っと・・・・名前忘れたよ。ちょっと俺、取りに行って来るから、先帰っててくれよ。じゃあな。」



コウは、早口でそう言うと、さっさと来た道を戻り始めた。



「・・・・まったく、何してんだよ、アイツは。」



残された4人は、リョウのつぶやきに顔を見合わせて、笑っていた。



< 98 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop