妹彼女Ⅱ
「いよぅし!全員いるなぁ?準備体操が終わったら、各自自由!事故の無いように。今月末にはクロールのテストがあるからそのつもりで!以上!」


出席確認だけ終え、三角ブーメランの担任は入念に体操を始めた。


プールサイドで足だけつけてキャッキャする緑、プールに入って欲望の顔を必死に抑えて一緒に遊ぶ大地。


女子グループ固まってなにやらクスクス話す優。

そのグループを上から目線で評価している男子群。


なんのスイッチが入ったのか、クロール勝負が始まった雪田率いる男子群2。



雲一つ無い晴天にこのグダグダした雰囲気。これが高校生活なんだろなぁ、とシミジミ感じる。


空への罪悪感から絶対空を守れる存在になろうと努力し続けた今まで。

今でもある程度続けてはいるが、なんというか、気の持ちようが違うもんな…


『どしたの?兄貴?』

ビート板に腕を乗せ、器用に浮かぶ空。
顔も体も至近距離、雪田が通る度に起こる波で、揺れた太ももが当たる。

男子群から、《見えへんやないか!》とハンパな関西弁のクレームが聞こえる。


「…いや。なんでもない…ただ…」

『ただ?』


ポニーテールにした髪がなんとも愛らしい。

「ずうっと、このまま幸せな生活が続くといいなぁって…」


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