妹彼女Ⅱ
あら意外。
合宿のころからだから…1ヶ月も経ってるのにまだなのか…

「それで、私から誘うのも恥ずかしいし、二人っきりってのも…」


『なるほどねぇ。いんじゃない?兄貴。』

「俺はいいよ。新しくできたとこでしょ?夏休みにも行こうと思ってたし。」


「ホント!?よかったぁ。それで…その…厚かましいお願いなんだけど…」


空にパックを2つ持たせ、教室へと戻る。途中で飲もうとする空を軽くはたく。


「分かってるよ。自分から誘うのは恥ずかしいから、俺が…ってことだろ?」

「うん…、ごめん。お願い。」


さすがに彼氏との初デートに《プールに行こう》とは言えまい。

合宿では《雪田冬真と森木乃香をくっつけよう大作戦》の隊長を務めた俺だ。

この二人には、多少の協力は惜しままい。


「ま、こんな風にみんなで遊びに行くのも楽しくでいいだろ。お~い、ゆ~き~た~。」


『楽しみだね。木乃香ちゃん。………、タイミング見て、私たちは抜けるからね。』

雪田と話す俺を眺めながら、空は小声で木乃香につぶやく。

木乃香は黙って顔を紅くし、小さな声で、うん、と返した。


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