妹彼女Ⅱ
「あ、やべぇ。」

でかい弁当とコンビニカレーパンをたいらげた満腹大地が、口周りを油まみれにして突然。


「どしたよ?次の英語の予習なら見してやらんぞ?」

「お前が神か!?なんで分かんだよ!?いや、てか見して!」


おぉ、なんのなし勘で当たるもんだね。


「たかだか見開き2ページ分の訳じゃねぇか…。30分で終わらせなさい!」

「あのぅ…海くん。私も、見して…ほしいな…なんて…」


「このヴァカタレズ!」

二人の怠惰っぷりに本日二度目の巻き舌洗礼。


「はぁ…、二人ともノートと辞書を持って15秒後ここに集合!」

「「はい!」」

揃った敬礼の後、エサを求めるカルガモのごとく、なんの訳も書いてないノートを広げる。


「はい、じゃあ一行目から。」

「…………」
「…………」

シャーペンを持ったまま動かない。
教科書は見ていない、なぜか俺を見ている。


「………?なに?」

「いや、訳。教えてくれるんじゃねぇの?」


「教えねぇよ。今から二人で、ここで、予習しなさい。つまづいたら手助けはしてやる。」


「「………無理!」」

「だまらっしゃい!」


女の子でも構うもんか!…とまでは言わんが。

左右でアホ面かます二人に強弱つけたチョップをくらわす。


< 20 / 62 >

この作品をシェア

pagetop