妹彼女Ⅱ
『で、ここは過去完了形だから、~に乗った、じゃなくて…』

「えっと、乗ってしまった?」

『そうそう。さすが緑ちゃん。なら次も読めるね?』


俺と空のアメとムチの波状攻撃。

勉強を教える基本は、できなきゃ怒る、できたら誉める。



「ほら、そこはさっきも間違えたとこ!もう3回目だそ。」

「うぅ~…」



あと10分、このペースなら終わるだろ。


ガラッ!

「お~い、英語の田島先生が体調不良で早退なされた。このクラス次英語だろ?だから自習な!」


入り口からはっきり聞こえた担任のお言葉。
予習をしてなかったやつらからは歓喜の声が。


「…………」
「…………」
「…………」
『…………』


4人分の沈黙の声。
全員目線を外し、空は残ったミルクティーを飲み干す。


『ま、まぁ、ほら。次回の予習が終わったって思えばさ…』

「そ、そうだよね!これで来週予習しなくていいし!」

「そうそう!むしろこのページはがっつり勉強できたわけだし、よかったじゃん大地!な?」


「…………、ちくしょおぉぉーっ!」


窓の縁に足をつけ、グランドに向けて吠えた。


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