妹彼女Ⅱ
プールまでは電車6駅分、向かい合いの4人座席を占領し、俺と冬真、空と木乃香で別れた。

最初は俺と空で座ろうとしたのだが、冬真が全身で、《木乃香と体くっつけて座るのは無理!》とジェスチャーしたので仕方無くこの陣形。


『プール楽しみだねぇ~!』
「ねぇ~!空ちゃん水着はやっぱビキニ?」

『えへへぇ。着替えてからのお楽しみ~。』

女子二人のキャッキャは止まらない。
若干木乃香はなるべくこっちと話さないよう無理してる感じはするが…


『そいえばさ、木乃ちゃんって泳げるの?昨日全然泳がなかったよね?』

「んと…得意じゃないかな…。浮かんだりはできるんだけど…本格的には…」

『へぇ~、冬真くんは確かかなり泳げるよね?』

急に話を振られてびっくりする。空の胸元に視線が行かないよう頑張っている。

「あぁ、そうだな…。小学校のころ水泳習ったりしてたから…」

『あ、じゃあいい機会じゃん。木乃ちゃん冬真くんに教えてもらいなよ!』


おぉ、うまいな空。
点と点をくっつける見事な話術です。

一瞬二人は目が合い、顔を赤くして目を反らす。


そりゃあ、手を繋いだりして泳ぎを教えたりしたら、急接近は間違いあるまい。

そう思ったのか、二人ともほんのり口元が緩む。


『確か二人で滑るウォータースライダーとかもあるんだったよねぇ~。絶対乗ろうね、兄貴。』

俺に話しかけながらも目線は二人へ、想像が一緒なのか、口元のニヤけは止まらない。



初デートの妄想を膨らませた二人を乗せて、電車は目的地へとたどり着く。



< 45 / 62 >

この作品をシェア

pagetop