妹彼女Ⅱ
更衣室もかなり広く、ロッカーも見て分かるほどの最新式だった。
素っ裸の幼稚園児が走り回り、父親に怒られていた。


「お前なぁ、初デートなのは分かるが、いくらなんでもあれはないぞ?」

着替えながら、ここに来るまでの評価を告げる。


「あ、あれって…?」

「よそよそしすぎ!仮にも1ヶ月も付き合ってるんだろ?もうちょい話さねぇと!」

お互い引っ込み思案で恥ずかしがり屋、仕方無いと言えば仕方無いかもしれないが。

「お、俺だって、頑張ろうとは思ってんだぞ?でも、いざとなると言葉が出なくて…」

「はぁ~…、とにかく。空たちと合流したらまず一言、水着を褒めてやるんだ。色でもなんでもいい、《似合ってる》という単語を必ず使え!いいな?」

「わ、分かった…」


ゴム輪のついた鍵を手首に巻き、着替え終了。

大きめの半ズボンタイプの水着が二人、色は俺が水色、冬真が迷彩柄。


入り口とは反対側のドアから出ると、プール特有の塩素の匂いと、床のゴムの匂いが鼻にささる。


近くにパラソル付きのテーブルがあったので、そこで空たちを待つことにした。


途中見かけた黒光りボディのおじさんに感嘆していると…


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