妹彼女Ⅱ
下は薄いタンクトップに薄手のカッターシャツなのに、風がないせいで体感温度と不快指数はうなぎのぼり。

通学路は全面アスファルト。
革靴を溶かしちゃる、と言わんばかりの熱気が、空気を揺らす。

『あっつい…』

「12回目、30メートルに一回は言ってるな…」

『だって暑いんだもん。』


「お~い!海!空!」


不毛な会話をけやぶるように、後ろから聞き慣れた声。


「お~、はよぅ大地。」
『はよ~、大地。』

「はよ、今日も暑いな。…空、胸元の汗がエロいから拭いてくれ。海、鼻の頭にでかい汗が……」

親友の助言に、焦ることなくハンドタオルで対応。

『うぅ、むせちゃう…』


哀原大地、風羽兄妹の事情を全部知ってる我らの友。

若干長くなった茶色の髪が、なんか鬱陶しい。


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