妹彼女Ⅱ
脇下に腕を回し、肩に顔をおいて小さな一言。




優が俺を好き《だった》のは知っていた。

だがそれも、俺と空の関係を知ってからは、諦めたものだと思っていた。


空と遊んだり絡んだりするのはよく見ていたが、俺との交流は合宿以降少なくなっていたとは感じてはいた。





だがそれは、俺の主観にしかすぎなかった。



「大好きなんだよ…海くんが…。分かってても…理解しようとしても…無理なのっ!」


泣きそうになりながら再び唇を重ねる、多少興奮状態で息が続かないのかすぐ離す。


「海くんには…分からないよね?……空ちゃんがいるんだもの…。でもね、私だって…私だって…同じくらい好きなんだよ…」


ゆっくりと頬をつたう涙が俺の肩へ垂れる。
体も小刻みに震えて背中にある手の爪が軽く刺さる。



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