swallotail-アゲハ-【完】
タケルはいつも行く海にバイクを止めた。
何も言わずに私に煙草を1本渡すタケル。
私も何も言わず受け取り火を点けてもらう・・・。
1度口に含んで勢い良く煙を吐き出す。
一呼吸置いた頃タケルが口を開いた。
「マジでバカだな。吹雪は」
「はぁ?テメーに言われたくねーよ」
「いい加減。春人に会えよ。お前の事心配してる」
「もう・・・会えない。会う資格ない」
春人には会ってない。
春人が会いに来てくれても会わない。
私の意志。
そして親のわがまま。
何度も電話もメールも来た。
でも。出ない。
返信しない。
出来ない。
もう・・・私は春人に触れられない。
愛しすぎて・・・
春人の本音を聞くのが怖い。
「このまま終わらせる気?」
「それが1番いいかもね・・・」