【天の雷・地の咆哮】

「なんだ、やけに素直だな」


文句の一つでも返ってくると予想していたのだろう。

ロカは、わずかに虚をつかれたように二度瞬いた。


「ちょっと思うところがありまして、素直になろうと心がけていますから」


ヴェローナを見習って、という言葉は、あえて飲み込む。



・・そこまで物分りのいい女になるには、まだ若すぎるもの。



ニュクスは、久しぶりにロカの蒼い瞳に正面から見つめられた気がした。


「そうか」


唇から呟きを漏らすのとほぼ同時に、ロカは立ち上がり、ゆっくりニュクスとの距離を縮める。


『お前“も”ほしいのか』


確かにロカはそう言った。

つまり、ヴェローナの産んだ子の父親が誰であれ、

ロカの中ではすでに自分の子どもとして認めるつもり、ということだ。







< 100 / 214 >

この作品をシェア

pagetop