【天の雷・地の咆哮】
一本の糸を手繰り寄せるように、ロカの唇が自分へとひき寄せられてくるのを感じながら、
ニュクスは、ふとロカの言った台詞を思い出した。
『俺は、欠陥品なんだ。人を愛する事を知らない。
だから俺に愛を求めれば、お前は不幸になる』
・・私は、不幸になるのかしら。
力強い抱擁とは裏腹に、ロカの冷たい唇がニュクスの熱を奪い去っていく。
つかの間、二人は何の障害もないただの若い恋人同士のようにお互いを求め合った。
いつの間にか虫の音がやむと、昼間だというのにあたりは再び静けさに包まれる。
先に体を離したロカが、ニュクスのうるんだ瞳を覗き込んで嘆息した。
「こんなつもりじゃ、なかったんだけどな」
「え?どういう意味です?」
「いや、こっちの話」
・・あんたを、こっちの側の人間にはさせたくなかったんだけどなぁ。