【天の雷・地の咆哮】
・・なんだとぉ!?
重臣会議の末席につくことを許されていたアニウスは、
その男--ルクスの提案に目をむいて怒りをあらわにした。
アニウスの震える肩を、
幾人かは好奇心で、
幾人かは同情で、
そして幾人かは下卑た目で眺める。
「マルスを養子に出せというのか」
怒りの色も動揺の色も見せることなく、ロカは決められた言葉をしゃべらされているように抑揚がない。
「いえ、私が申し上げているのはあくまで一時的な措置です。
今は、民の不満が少しでも王に向かわぬようにするのが大事でしょう。
噂などは、すぐに消えてなくなるものでございます。
第一、マルス様が城から出ても飢饉が起これば、逆にマルス様の潔白の証明となりましょう」
重臣たちの誰もが、無言で頷く。