【天の雷・地の咆哮】

「なんだ」


ロカはようやく進み始めた議論をさえぎられた不満そのままに、

眉間に皺を寄せてぶっきらぼうに返事をした。


「マルス様を城から出すなどと!」


「その話は終いだと言ったはずだ。

誰か、そのばかをつまみ出せ」


冷淡な口調と、冷め切った視線。

アニウスが引きずり出されるようにして議場を後にした時最後に目にしたのは、

そんなロカの横顔だった。


呆然とするアニウスとは別にもう一人。

ロカのすぐ後ろで、

しかめっ面をした男の唇が、いつもよりさらに複雑によじれた。



・・この王、一体どういうつもりなのだ。

ヴェローナを襲った俺を処刑することもせず、マルスが自分の子ではないと公表もしない。

それとも、今度の飢饉の罪を全てマルスにかぶせるつもりなのか?


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