【天の雷・地の咆哮】
正直、最初は殺したいくらいにヴェローナを憎んでいた。
自分が手に入れられないロカの愛を、誰もが同じように持てないのならばよい。
事実、ロカの言葉は、『人を愛する事を知らない』、
つまり誰もが平等に彼に愛されることはないように思えた。
けれど、ロカの言葉とは裏腹に、
彼は彼の愛情を、ヴェローナにはきっちり分け与えているように見えた。
最初の、うちは。
・・落葉が、異常に早いわね。
いつもなら、色づいてたわわに実がなるような木々たちが、
皆、葉を落とし、本来実になるべき物体が、熟さないまま立ち枯れたように地面に転がっている。
「ニナ。
あなた、私の代理として、食料や衣服を届けてちょうだい」
「はぁ。どちらへ?」
「ヴェローナ様のいらっしゃる別邸へよ」
「なっ!?」