【天の雷・地の咆哮】
軽く交わして話題を変えるか、それとも関係ないとばかりにのろけ話でも始めるか。
どちらにしても、ニュクスには笑って応じられる自信があった。
ところが。
『ヴェローナ?
そういや、全然会っていないが、あいつどうしてる?
子どもも変わりないか?』
言葉を失った、という表現が何よりもぴったりだ、と後になってニュクスは思った。
子どもを産むまでは、ニュクスの隣の部屋でニュクスがヴェローナの面倒を見たが、
出産後は、もっと広いヴェローナ専用の部屋と専属の侍女が与えられている。
当然、足繁く通いつめているのかと思えば。
『全然って、どのくらい会っていないのです?』
『ん?部屋を変わってからかな』
『まさか、マルス王子にも?』
『一度も会ってないが』
子どもの父親のことが関係しているのかもしれない。
それ以外の、ニュクスの知らない理由があるのかもしれない。
どちらにせよ、今、ロカが相手にしようとしているのは自分なのだと、
ニュクスは直感した。