【天の雷・地の咆哮】

飢饉の発生からすでに5ヶ月。

各地で非常用の倉を開放し、相当数の餓死者は出たものの、事態は一応終息に向かっていた。


「王よ。あなたはどうお考えです」


重臣の一人であるルクスが発言すると、場は水を打ったように静まり返る。


全員の視線がロカに集中する中で、

いかにも面倒だと訴えるように、ロカは前髪をかきあげた。


「あぁ。その件については、アニウスに一任する」


どよっ、と議場がざわめき、人々は顔を見合わせる。

アニウスに任せること。それはつまり彼の案を受け入れよ、ということだ。


「今日の議論はこれで終わりだ。続きはまた明日」


立ち上がり、去りかけたロカの背に、ルクスは慌てて声をかけた。


「お待ちください。それでは、皆が納得できません」


大空を写し取ったような蒼い瞳が、全員の心の中を透かし見るようにぐるりと動いた。


「ルクスよ。王は、一体誰だ?お前か?」



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