【天の雷・地の咆哮】
突然の質問に、ルクスは動揺を悟られないように平静を装う。
「それはもちろん、ユピテロカ様です」
ロカは満足そうに二度頷くと、
「では、俺の命令は絶対だ。従え」
鋭い眼光で念押しするように、貴族の一人一人と視線を交わした。
ある者は見つめられて、はっ!と返事をしながらとっさに頭を下げ、
ある者は凍ったように微動だにできず、
そしてルクスは、目のしわが伸びきるほどいっぱいに目を開いて、ロカを見つめ返した。
・・一体いつの間に。
いつの間にか、ロカは王としての空気を身にまとい、自分に従わせる術を会得している。
誰もがそうと気づかぬうちに。
ロカが部屋から去っていくのを、誰もが夢を見るような気持ちで、ただ見送る。
バタンと扉が閉まる音がしても、その場の誰もが立ち上がろうとはしなかった。