【天の雷・地の咆哮】
ギシリ。
二人分の重みを受けて、寝台が音を鳴らす。
覆いかぶさるようにロカはそっとニュクスの顔を覗きこんだ。
「ニュクス・・・」
ロカの口からため息が漏れるように、妻の名が滑り落ちる。
ロカの目に飛び込んだのは、両手で顔を隠したニュクスと、
寝台に広がる大きな涙の海。
「どうしたんだ?そんなに辛かったのか?」
子どもに添い寝をするようにニュクスの隣に横になると、
ロカは優しく彼女の髪を梳いた。
「それとも俺が、嫌になったか?」
腕の中のニュクスの頭がふるふると横に揺れる。
ふっとロカの表情が緩んだ。
どうやら嫌われたわけではないらしい。
「なら、こっちを向いてくれ。お前の顔が見たい」
数拍の沈黙が流れた後、ニュクスの嗚咽が漏れて、沈黙をはらった。
「頼むニュクス。こっちを向いてくれ」
ゆっくりと、抱いた肩に力を込めると、ニュクスの体が傾いだ。