【天の雷・地の咆哮】
そのまま、ニュクスの体をきつく抱きしめると、言い含めるように言葉を連ねる。
「すまない。俺はやっぱり、お前を不幸にしたな。
お前を、俺の一番にはできない」
「うぬぼれないで」
「もっといい男に惚れれば良かったのにな。
あいつらを・・・頼む」
「残酷な人ね」
「だな。
俺の愛は、あいつにやっちまったから。
だから、俺の信頼は、お前にくれてやる」
長い年月を経て、初めて、ロカの真実を見たような気がして、
不覚にもニュクスは胸が熱くなった。
自分を捨てようとしている男にたいして、こみ上げてくるのは、怒りでも悲しみでもなく。
・・ありがとう、ロカ。