【天の雷・地の咆哮】
熱く激しく、壮大に燃え上がる太陽のような愛を求めていた若い頃とは違い、
ロカへの想いは、いつしか、穏やかに小さく光る月のようなものへと変化していた。
・・私は、あなたがいるから輝いていられるのよ。
私に愛する事を教えてくれたのは、あなただもの。
ロカの衣に染みが広がり、冷たく濡れていく。
平手を覚悟していたロカは、ただ静かに涙を流すニュクスの背をやさしく叩いた。
「まぁ実際、俺はこんな堅苦しいところ、大嫌いだしな。
自由に生きていたいってのが、本音だ。
にしても、ニュクス。お前は男に産まれていたら、ルクス以上の大物になっていたかもな」
「どうせ私は、男のような性格です」
ロカの胸から少しだけ顔を上げ、濡れた瞳で、切なげに笑う。
想像以上に、ロカは息苦しくなった。
こんなにもいい女を、泣かせているのは、自分なのだ。