【天の雷・地の咆哮】

窓から差し込む月明かりが、二人の姿をそっと照らす。


「いや、やっぱり無理だな。お前は、泣き虫だから女の方が合っている」



・・お前のようにいい女は、どこを探しても見つからんだろうよ。



両手でニュクスの顔を包み込み、親指で彼女の涙を拭う。


それに、と続けて、ロカは頬に置いた掌を顎まで滑らせて、ニュクスの顔を固定した。


「男に産まれていたら、こんなことはできない」


近づくロカの顔に、何をされるかわかって、

ニュクスは抗うことはせずに、ゆっくりと瞼を閉じた。


とくん、と小さく、ニュクスの胸が跳ねる。


一つに重なった影は、やがて名残惜しそうに二つに分かれた。




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