【天の雷・地の咆哮】

「私が護衛を務めている頃から、いつの間にか姿を消していらっしゃったから、

それなりに調べさせていただきました。

いろんなところに出没しては、街の情報や噂話を集めていらっしゃっていたことも知っております」


商売女のところに足繁く通われたりもなさってましたよね、と、

ホーエンは無表情で口にする。


声を荒げて責めたりしないところが、逆に辛らつな嫌味に聞こえて、

ロカは頭をぼりぼりとかいた。


「情報源としちゃ、女が一番なんだよ」


なんともなしに言い訳をする。

別にホーエンに誤解されたところで痛くも痒くもないはずなのだが。


「で?何か用か?」


「ヴェローナ様の体調がよくありません。

少し前から、お風邪を召していたのですが、

無理をして宴に出席なさったのが響いたようで、熱を出されています」


「ヴェローナが!?」


王族が城から抜けるために作られた井戸の秘密を、

あっさりとホーエンが看破していることには触れず、

話は意外な方へと転換した。


が。


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